女性院長による皮膚科・美容皮膚科

あい皮膚科クリニック

General 皮膚科

当院では、保険診療(一部治療により自由診療になる場合もあります)で、主に以下のような病気の治療を行っております。 外用療法と内服療法、さらには漢方治療をくみあわせた治療を、それぞれの症状にあわせていっています。 どうぞ何でもお気軽にご相談いただけたら幸いです。

今後、主な症状と治療についてご説明を追加させていただきます。

花

一般的な皮膚科疾患

アレルギー疾患

子どもの皮膚トラブル

  • 小児乾燥型湿疹(子どもの乾燥肌)
  • おむつかぶれ
  • 乳児湿疹
  • 伝染性膿痂疹(とびひ)
  • 新生児ざ瘡(赤ちゃんのにきび)
  • 伝染性軟属腫(水いぼ)

ウイルス・細菌感染症

皮膚良性腫瘍

  • 粉瘤
  • 皮膚線維腫
  • 脂肪腫
  • 軟性線維腫
  • 石灰化上皮腫
  • ほくろ

円形脱毛症

円形脱毛症とは

頭部や眉、ひげなどの毛がある特定の部分に限って、毛が抜けてしまう病気です。脱毛症にはいくつかの種類がありますが、皮膚科を受診される方の多くは、円形脱毛症です。100人のうち1~2人はかかる可能性があり、比較的よくみられる病気です。
年齢や性別を問わず生じますが、30歳位までの若い人に多くみられるといわれています。
自覚症状なく毛が抜けることが多いですが、脱毛部に痒みや痛み・違和感などを感じることもあります。

経過

脱毛斑が小さく、数も少ない場合は自然に治ってしまうことがほとんどです。
しかし、急に症状が悪くなる・長く続く・あるいは脱毛の範囲が広い場合は治療が必要になります。また、何かのきっかけでまた再発することもあります。

原因

円形脱毛症では、強いストレスにより毛が抜けるといわれています。しかし、現在では円形脱毛症は「自己免疫反応」により生じるとする考え方が主流になっています。
「自己免疫反応」とは本来、細菌やウイルスなどの外敵と戦うためにおきる免疫反応が、何らかの理由で自分の身体を攻撃してしまうことをいいます。
円形脱毛症では毛根をリンパ球が攻撃し、破壊する自己免疫反応がおきて脱毛することがわかってきました。なぜこのような反応がおきてしまうのか、詳しい理由はわかりません。しかし、家族に円形脱毛症の人がいる、あるいは双子兄弟ともに円形脱毛症にかかる例があることから「かかりやすい体質」つまり、遺伝的素因があると考えられています。こうした体質を持つ人に、身体的・精神的負荷がかかることが引き金となり、普段は上手く調節されている免疫の働きに異常をきたし、円形脱毛症になると考えられています。

治療法

円形脱毛症では、症状や年齢などをよく考えて治療を選ぶことが大切です。
しかしながら、治療には個人差があります。
主な治療法としては、

  1. 塗り薬・・・炎症を抑えるステロイド(副腎皮質ホルモン)のローション
    脱毛部の血の流れをよくするローション(フロジン液など)
  2. 飲み薬・・・抗アレルギー剤や、血行をよくして免疫力を上げる薬(セファランチンなど)
  3. 液体窒素で脱毛部を刺激する方法・・・解凍されるときに血行も促進されます。
  4. ステロイドの局所注射・・・脱毛範囲が広い場合や、子どもには難しいこともあります。

その他の治療法としては、
紫外線療法(エキシマライト:VTRAC)などがあります。

このVTRACは難治性の円形脱毛症への治療の可能性があり、大学病院などでもすすめんで取り入れられている治療法です。 当院でも今年1月にこのVTRACを導入しております。
興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

VTRAC

ターゲット型光線治療法(エキシマライト:VTRAC)を導入しました

エキシマライトとは、キセノンクロライドを光源とした波長を高出力で発生するターゲット型UVB治療器のことです。このターゲット型では病変部のみの局所照射が可能となり、照射部位を小さくすることができます。さらに高い光強度での照射が可能なので皮膚の深い部分の病変部にも到達できます。また寛解期間(治療後の病変が抑制されている期間)が長いことも特徴の一つです。

精度と深達度の関係
精度と深達度の関係同じ照射量でも深達度が違う
正常部位の皮膚が痛みにくい

VTRACは従来の紫外線治療器と違い照射口が19cm²(6.1cm×3.1cm)と小さいため、頭皮や首、手、足、背中など患部のみに強力な紫外線(308ナノメーター)を照射することが可能です。そのため患部周辺の正常皮膚への影響を小さくすることができます

これまでの紫外線療法による治療や薬だけでは治りが悪い方

ステロイド等では十分な効果が得られなかった乾癬やアトピー性皮膚炎に伴う痒疹、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、白斑に有効です。VTRACは病変部に治療できる上、他の光線療法(PUVA、ブロードバンドUVB、ナローバンドUVB)や内服薬、外用剤とも併用できるのが特徴です。今までの治療の結果があまりあらわれていない方や疾患の面積が小さい方、全身型治療器では光が当たりにくい部位・または影になる部位に疾患のある方は、本治療をおすすめします。

VTRAC
  • 症状により個人差がありますが、1週間に1~2回の照射が治療の目安となります。
  • 治療後、半日ほどで日焼けによる赤みがあらわれる場合もありますが、通常2~3日ほどで戻る方もいらっしゃいます。
  • 光によって皮膚に刺激を受ける方(光線過敏症)、ケロイド体質の方、内科的疾患(狭心症・心筋梗塞・脳梗塞)等があり内服している方、妊娠中の方は光線治療をお受けになることができません。
  • 保険適用となります。1回の料金は3割負担で1,020円(税込み)です。
VTRAC

男性型脱毛(AGA)

男性型脱毛症(AGA)について

1.AGAとは

AGAは、思春期過ぎに遺伝的背景を持つ男性の前頭部から頭頂部でおこります。毛周期は成長期、退行期、休止期と分けられ、一般的に成長期は2~6年といわれています。男性型脱毛は、成長期の毛包が、早く退行期、休止期に移行してしまい、毛包が十分に成長せず小さくなる、いわゆる毛包のミニチュア化がおこります。
さらに成長期の毛髪の割合が減少し、細い毛髪が増え、抜け毛が増えます。症状は進行性で、一度症状がではじめると、その後は徐々に薄毛が進行していきます。

AGAとは
AGAの原因
2.AGAの原因

遺伝や男性ホルモンの影響などが主な原因と考えられています。 AGAを生じる直接の原因物質はDHT(ジヒドロテストステロン)です。DHTは5α-還元酵素によってテストステロンから作られ、このDHTが毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体と結合すると、脱毛シグナルが出され、毛の成長が止まってしまいます。そのため毛髪が長く太い毛に成長する前に抜けてしまうのです。十分に育たない細く短い毛髪が多くなることで、全体として薄毛が目立つようになります。

3.AGAの治療法

AGAの治療法にはミノキシジル(商品名:リアップ)を代表とした外用療法や、フィナステリド(商品名:プロペシア)の内服療法、外科的治療法である植毛などがあります。
軽症~中等症のAGAに対しては外用療法または内服療法、あるいは両者の併用を行い、効果があればそれを継続します。ただしこの治療に反応しない場合の進行例もないとはいないことをご了解ください。

AGAの治療法

プロペシアを用いた治療について

1.治療のポイント

抜け毛の進行を遅くし、現状を維持することおよび髪の毛を増やすことが期待できます。 薄毛が気になりはじめたときに、対処するのが有効です。
抜け毛が減ったかどうかが実感の目安です。
実感するには6カ月間飲み続ける必要があります。

2.プロペシアの働き

抜け毛の原因物質であるDHTの産生を抑える薬です。抜け毛を少なくして、AGAの進行を遅らせることが期待できます。また、一部の人では髪の毛が増える働きもみられます。

3.プロペシアの効き目

5の臨床試験の結果で、90%の人に、抜け毛の進行を抑える働き、あるいは改善効果が認められています。

4.プロペシアの飲み方

1日1回の飲み薬です。食前でも食後でも差はありません。成人の男性のみ服用できます。

5.プロペシアの働き

抜け毛が減ったかどうかが目安となり、その判定には6カ月の服用が必要です。

6.副作用

主な副作用は性機能の低下(リビドー減退や勃起機能不全など)、消化器障害(下痢、胃部不快感など)、臨床検査値異常(総コレステロール増加、ALT上昇など)です。

女性型脱毛(薄毛、抜け毛)

最近は女性の間にも抜け毛を気にされる方が増えてきました。 女性の3人に1人が薄毛を気にされています。

花

種類

種類としては
  1. 女性型脱毛:閉経や更年期に女性ホルモンが減少することでおこるといわれ、男性とは異なり頭頂部の広い範囲の頭髪が薄くなります。
  2. 出産後脱毛:妊娠中は女性ホルモンが大量に分泌されていますが、出産後に血中ホルモン値が妊娠前値に戻ると毛髪は成長期から休止期にうつり、脱毛するといわれます。頭髪全体にびまん性脱毛がおこります。
  3. 円形脱毛症:円形に脱毛します。これは男性女性問わずおこります。
  4. ひこう性脱毛:ふけや痒みのある頭皮に炎症症状を伴う脂漏性皮膚炎に合併する脱毛です。皮膚に常在する真菌であるマラセチアが原因とされています。これも男女問わずおこり、男性の方が頻度は高いです。
原因

女性の抜け毛で多い原因は、1の女性型脱毛です。髪の毛は皮膚の一部が変化したもので、ケラチンというたんぱく質でできています。このため、肌と同じように女性ホルモンのエストロゲンの分泌によって影響を受けます。例えば女の子は思春期になると髪の毛の量がぐんと増えますが、これはエストロゲンの分泌が活発になるためです。逆に更年期の時期である50歳前後からは閉経に向かって徐々にホルモン量は低下しますので、髪の毛は抜けやすくなります。こうした抜け毛は老年性脱毛といわれます。気にする人はとても多いのですが、生理的なものですから対処が難しいことも事実です。
また、同じような時期におこるものにアンドロゲン性脱毛症があります。別名を男性型脱毛や壮年性脱毛ということもありますが、これは男性の脱毛と同様、男性ホルモンが影響しておこるものです。女性は更年期でエストロゲンが低下すると逆に男性ホルモンの影響が強くあらわれてきます。男性ホルモンは毛髪の成長期間を短縮する作用があるので、結果として髪が薄くなったり、減ってきたりします。こちらのタイプは40代から徐々に増えます。
なお、このタイプの脱毛症は遺伝も関係があるといわれ、父親の髪の毛が薄い場合には、その子ども(娘)にアンドロゲン性脱毛が発生する可能性が若干、高くなるといわれています。

治療

育毛剤などで期待できるものとしてアンドロゲン性脱毛症に対しては「ミノキシジル」という成分が入った育毛剤があります。ミノキシジルは血管拡張により血流を増加させ、髪に栄養を送ることで発毛環境を促進します。特に頭頂部の脱毛に効果的といわれています。日本皮膚科学会のガイドラインでは、ミノキシジルは評価を得ている医薬品として挙げられています。この成分の含有された女性向きのローションタイプの育毛剤が販売されています。日本で売られているのはミノキシジル1%配合のものですが、海外では5%のものも売られています。なお、壮年性脱毛に有効性が確立されている治療法として、医師が処方する内服薬のフィナステリド(プロペシア)がありますが、女性向けには承認されていません。 またホルモン剤は、発がん性などのリスクがあるのでホルモン剤の投与は行われていません。

その他塩化カルプロニウム センブリエキス 酢酸トコフェロールなどの成分は血行促進に働くといわれており、それが配合されている育毛剤もあります。

抜け毛を防ぐには日ごろの心がけが大切です。
食生活バランス(たんぱく質 髪の新陳代謝を促すビタミン、ミネラル)など栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。偏食やダイエットは栄養不足から抜け毛の原因に関係があります。

また、髪の毛の成長は主に夜間に行われるので睡眠不足はよくありません。喫煙をすると毛細血管が収縮し、十分な栄養を送ることができなくなります。しっかり生活面に気をつけていきましょう。

抜け毛対策として、正しい頭皮ケアを心がけることも大切です。脂漏性脱毛症を持つ場合は育毛剤などを塗るとかえって地肌を傷めることがあるので、注意が必要です。
また、髪の毛を染めたり、パーマをかたりすることで髪が傷み、切れ毛が増えることはありますので医師の指示に従ってください。

ほくろ・できもの

ほくろとは

ほくろは、医学的には「色素性母斑」といいます。

  • しみやそばかすと違って皮膚表面の表皮という部分ではなく、多くは真皮という深い部分に原因の母斑細胞があります。
  • そのため、しみやそばかすのように、光治療や外用薬で治療することはできません。

治療法

治療方法は大きく分けて2つです。

A:切除術(手術は火・木曜午後に行います)
  • 局所麻酔をして切除、縫合します。
  • 抜糸までの約1週間はガーゼ処置が必要です。
  • 再発することはありませんが、傷跡の赤みが目立たなくなるまで最低約1カ月はかかります。治療方法について患者さまとよく相談の上、治療を行います。
B:レーザー治療(自由診療)
  • 盛り上がっていない、平坦なほくろに対して行います。
  • レーザー治療は切除術に比べてその後のケアは簡単です。
  • 治療部位は直後に少しへこみがあり擦り傷のようになりますが1週間程度で乾きます。
  • メイクや入浴などは通常どおりにできます。
  • 母斑細胞のある深さによっては再発することがあります。

できものとは

皮膚のできものには、粉瘤、脂肪腫、軟性繊維腫、良性腫瘍などさまざまなものがあります。
ここでは、粉瘤について説明します。

  • 粉瘤とは
    もっとも一般的に認められる、皮膚良性腫瘍の一種です。原因ははっきりしていませんが、誰にでもできる可能性のあるもので、特別珍しいものではありません。
    表皮に連続した嚢腫 (のうしゅ:周囲に壁のある袋状の構造)を形成しています。嚢腫の壁は表皮と同じ細胞からなり、嚢腫の内容物は、どろどろとした角質からなります。嚢腫の頂点に毛孔(毛穴)の残存を認め、圧迫すると悪臭のある内容物を排出することがあります。
  • 放置するとどうなる?
    粉瘤は放置すると徐々に大きく成長します。大きくなってから手術で切除しようとすると傷跡が目立ってしまうので、成長している様子がある場合には大きくなる前に切除した方が良いでしょう。

治療法

A:炎症・痛みがあるとき

嚢腫内に細菌感染をおきしたり、圧迫により嚢腫の壁が破れたときに、急に大きく腫れて痛みを生じることがあります。この状態を炎症性粉瘤(または化膿性粉瘤)と呼びます。この場合は、まず抗生物質や消炎鎮痛剤の内服で炎症を抑えます。膿が溜まっていて痛みが強い場合には、局所麻酔をしてメスで切り込みを入れて、中に溜まっている膿を排出します。これを切開排膿処置といいます。この処置で腫れや痛みは治まりますが、嚢腫壁が残ってしまうとやがて再発します。再発したときには、また炎症を生じて痛くなる前に、手術で嚢腫壁ごと摘出する必要があります。

B:痛みがないとき

粉瘤の治療は、嚢腫壁を取り残しがないように摘出する必要があります。
手術は、局所麻酔をし、メスで紡錘形に切り取って、縫う方法です。嚢腫壁を肉眼で確認しながら周囲の組織から剥離して摘出するので、壁の取り残しが少ないのが利点です。欠点は、傷跡が長い線になるので目立ってしまうことです。抜糸までは1~2週間かかります。その間はシャワー浴になります。
切除した組織は、病理検査に提出して確定診断をします。
手術は火・木曜午後に行っています。

いぼ

一般的にいぼと呼ばれるものは医学的には数種類のものが含まれています。

1.スキンタグ(軟性線維腫)
  • 主に30代以降に、首を中心にできる薄茶色で隆起性のいぼです。
  • 肌質や強い日焼けによってできるといわれます。
  • できやすい肌の場合は首だけでなく腹部や胸部にもできます。
2.老人性ゆう贅(脂漏性角化症)
  • 隆起したしみのようなもので、主に顔にできます。
  • 加齢とともに増加することがあります。

治療法

A:液体窒素(ドライアイス)による冷凍療法
  • 簡便な治療法ですが、1回ではとれません。3~4週間間隔で繰り返し処置を行う必要があるため、時間がかかります。
  • 治療後は一時的に軽いやけどをおきした状態になるため、強く治療をしすぎるとあと(炎症後色素沈着)になることがあります。
B:炭酸ガスレーザー
  • 上記の液体窒素に比べて治療回数は1回で済む場合がほとんどです。
  • 液体窒素に比べて治療部位がきれいです。
  • いぼの場所と数によっては保険適用になる場合がありますが、治療に制限があります。
  • いぼの大きさによっては局所麻酔をします。治療後は軟膏を塗り、ガーゼ処置を7~10日すると、その後の傷跡が大変きれいになります。その間はシャワー浴になります。
3.尋常性ゆう贅(じんじょうせいゆうぜい)
  • ヒト乳頭腫ウイルスの感染により生じます。
  • 小さな傷が絶えずできる手足に好発します。大勢の人が裸足で行動するプールサイドや公衆浴場の脱衣所などで感染することが多く、家族内では皮膚の直接の接触のほか、共用しているタオルやふろ場の足拭きマットなどを介しての感染もあります。手足のいぼは魚の目と似ていますが、魚の目と異なり削っても治らないことが多いです。ウイルスの潜伏期間が3~6カ月と長く、一見正常な皮膚に長期間潜んで出現していますので、治療には数カ月以上かかることもあります。
  • 放置するとどうなる?
    初めは小さかったいぼも、放置するうちにウイルスが増殖を続け、周囲の角化細胞にも感染を広げていくため、徐々に大きくなっていきます。やがて離れた場所にも飛び火して、いぼの数は増加していきます。
    いぼは小さく、数が少ないうちは比較的短期間で治癒させることができますが、大きいものや多発したものは難治性となり、他人への感染源としても問題となります。できるだけ早期に、きちんと治した方が良いでしょう。身体にいぼのウイルスに対する免疫ができると、いぼが自然に治ってしまうことがあります。しかし、それを期待しているといぼが治るのに数年~数十年もかかる可能性がありますし、治る保証もありません。その間いぼは増え続けるため、外見上の問題とともに、周囲の人への感染の問題も続くことになります。

治療法

A:液体窒素(ドライアイス)による冷凍療法

簡便でもっとも一般的な治療法です。超低温の液体窒素でいぼを凍結して壊死させる治療法です。1回の治療で完結するわけではなく、1~2週の間隔で繰り返し処置を行う必要があるため治療に時間がかかります。しかし根気よく治療すれば、ほとんどの場合はこの治療法で治癒します。ただし、しっかりと完治するには、痛みを我慢して強く治療する必要があります。

B:モノクロロ酢酸

モノクロロ酢酸という、薬品を使用していぼを腐食させる方法です。冷凍療法の治療に対して反応が鈍い場合に行います。治療自体に痛みは少ないですが、治療後に薬品に刺激による軽度の痛みや痒みが生じることがあります。

C:スピール膏

スピール膏には肥厚した角質を溶かす作用があります。スピール膏を張り付けることでいぼの表面を溶かして小さくする働きや、ほかの薬剤のいぼへの浸透性を高める働きがあり、当院ではモノクロロ酢酸治療との併用に使用しています。ただし、これ単独での使用は、周囲の皮膚も白く柔らかくなって、いぼのウイルスの感染を受けやすくなってしまうため、症状が悪化してしまう可能性もあります。

D:ヨクイニン内服

漢方のハトムギの内服薬です。ハトムギにはいぼのウイルスに対する免疫力を高める作用があります。単独での働きは弱いですが、他の治療の補助に用います。

いずれの治療法を用いても、いぼの治療は1回で終了するわけではありません。

特に多発性のいぼや大きいいぼの治療は繰り返し、根気よく続ける必要があります。
いぼは治療に時間がかかりますが、あきらめないで1~2週間隔で定期的に治療を続けるようにしてください。

4.水いぼ(伝染性軟属腫)
  • 伝染性軟属腫ウイルス(MCV)の感染により生じます。
  • 感染してからいぼが目にみる大きさに育つまでの潜伏期間が約1カ月間あります。
  • 小児の体幹や四肢に粟粒大~数mmまでの光沢のあるいぼができて、徐々に数が増えてきます。
    プール等で肌の接触により感染しますので、最初は子ども同士で触れ合う場所にいぼはできます。その後は子どもがいぼを触った手で他の場所を引っ掻くなどして、皮膚の表面で感染は広がっていきます。
  • 放置するとどうなる?
    皮膚の表面で感染が広がり、徐々にいぼの数は増えて大きくなりますが、やがて身体にウイルスに対する免疫が成立すると自然に治癒します。通常は半年から1年で自然に治ります。(95%は1年以内に自然治癒)しかし、免疫が成立するまでの間はいぼが増加し続けます。また、肌の弱い子(特にアトピー性皮膚炎)の場合、極端にたくさんの水いぼができて難治化する場合もあります。さらに、水いぼに痒みを生じ、周辺の皮膚が湿疹化することもあります。

治療法

A:ピンセットによる軟属腫摘除
  • 専用のピンセットで水いぼを摘み取る方法です。
  • 痛みを伴うため小さな子どもの治療には適しません。治療前に局所麻酔薬のテープを貼っておくと、多少痛みは和らぎます。いぼが小さすぎるとピンセットではとれない場合もあります。
B:液体窒素による凍結療法

上記に比べてある程度回数がかかります。

汗疱(かんぽう)・汗疱状(かんぽうじょう)・湿疹(しっしん)

この病気は、手足の裏や指の間に明らかな誘因がなく、水疱がでたり消えたりするものです。小さい水疱が多発し薄く皮がむけるもの(汗疱)から、赤みや痛み・痒みを伴うもの(汗疱状湿疹)があります。

症状

  • 汗疱
    汗をかきやすい人は、手足の裏や指の間に1~2mmの小水疱ができたり、薄く皮がむけたりします。
    これは汗が皮膚から外へ排出されずに、皮膚の下に貯留した状態です。
    季節の変わり目などにでやすく、でたり消えたり繰り返すのが特徴です。
  • 汗疱状湿疹
    汗疱の水疱が破れて皮膚がむけて湿疹化したものです。かき壊すことで浅いびらん(小さな傷)になり痛みや強い痒みを伴うこともあります。
    水疱を繰り返しているうちに皮膚が硬くなる(角化)こともあります。

原因

はっきりした原因は不明ですが、汗の排出が上手くなされずに汗腺がつまり、汗の刺激により周囲の皮膚が炎症をおきすことが考えられます。
汗かきの人(多汗症)や手足がむれやすい人、アトピー体質などとの関連があります。

検査と診断

この病気は、水虫(手足の白癬)の症状とよく似て、区別がほとんどつきません。水虫との鑑別のために皮膚科で検査をすることをおすすめします。この病気は真菌や細菌・ウイルスによる感染症ではないので、人にはうつりません。

治療

汗疱には治療の必要はなく、日常生活の注意により症状を抑えることができます。 汗疱状湿疹へ移行すると治療が必要となります。湿疹ができている所には、部分的にステロイド外用薬で治療します。
また、痒みを抑えるために抗アレルギー剤の処方をすることもあります。

日常生活の注意

  • いつもハンカチやタオルなどを持ち、よく汗を拭き取りましょう。
  • なるべく水仕事を控え、めくれた皮膚はむしらないでください。
  • むれることは症状を悪化させます。ゴム手袋をする場合は素手で直接せず、下に綿の手袋をして、その上からゴム手袋をはめることをおすすめします。
  • 綿の手袋は湿ったらこまめに取り替えて、乾かしてください。
  • 汗の吸収をよくするため、素足で直接靴を履くことは避けて、靴下を履くことを心がけてください。
  • 靴を長時間履く場合は、靴下の交換をすることをおすすめします。

汗疱は手足の裏に汗をかきやすいという体質が基になっていますので、この病気については治そうとするのではなく、いかに上手にコントロールするかがポイントです。予防法と治療をきちんと行って上手に病気と付き合いましょう。

巻き爪・陥入爪

長時間歩行したあとや窮屈な靴を履いたあとで、足の爪が痛くなることはありませんか?それは巻き爪(わん曲爪)や陥入爪で、ほとんどは足の指、それも親指におこります。

  • 巻き爪(わん曲爪)
    爪のカーブが強く、横に巻いている状態です。
  • 陥入爪
    爪の角がとげのように肉に食い込んで、痛みを伴う状態です。陥入爪の人は、巻き爪であることが多いです。
陥入爪

原因

  • 巻き爪・陥入爪の原因は1.深爪 2.足に合わない靴 3.外傷です。
    特に深爪が主な原因です。深爪をすると歩いたときに、下からの力(足底圧)で軟部組織(肉)が爪のふちから押し上げられて、それが爪を押すので爪が巻いていきます(巻き爪)。
  • 爪を短くしてしまうと、爪の角がとげのようになり、それが皮膚や軟部組織に食い込んで痛みを生じます(陥入爪)。
  • 食い込んだ部分に細菌感染をおきすと、赤く腫れて激しい痛みを生じ、化膿したり激痛のために歩行できないこともあります。爪の角を切ると一時的に痛みはなくなりますが、爪が伸びたときにさらに巻き込み、より重症な巻き爪になります。

治療

1.爪を伸ばして爪の角を外に出す

巻き爪・陥入爪の治療の第1歩は、爪を伸ばすことです。上からみたときに、爪から皮膚がみない位まで長く伸ばします。陥入爪の場合、爪を伸ばして爪の角が軟部組織(肉)から上にでるまで爪を伸ばします。伸びた部分は、真横にカットするようにします。爪ヤスリを使用しても良いでしょう。爪ヤスリは一方向に、まっすぐに削るようにします。

陥入爪
2.テーピング

布製の絆創膏を爪のわきに貼り、反対側に斜めに引っ張る方法です。こうすると、爪の角が軟部組織(肉)から離れて、痛みの軽減につながります。

爪矯正

巻き爪で爪の角がでた状態でも、爪のふちが前からみて90度に立っているときなどは、力が加わると痛むことがあります。日常生活に支障がある場合は爪矯正もおすすめします。爪矯正にはいくつか方法がありますが、当院で行っているのは次の2つです。

A:ワイヤ法

マチワイヤという、非常に弾力のある針金を使って矯正する方法です。弾性が強く、曲げてもすぐに元に戻る性質を利用しています。伸びた爪の両脇に2カ所の穴を開けて、1本のマチワイヤを通して余分な分を切り取り、医療用の接着剤で固定します。歯列矯正と同じように、ワイヤを使って長期間ある一定の力をかて、巻き爪の形を少しずつ矯正していきます。爪の伸びぐあいや矯正の度合いにもよりますが、2,3カ月後に爪を切ってワイヤを外します(自然にとれる場合もあります)。再度、ワイヤを付け替えて、1年ほどかて矯正していきますが、治療の度合いには個人差があります。

ワイヤ法

利点
矯正力が強く、施術が比較的容易です。

欠点
爪が十分に伸びていないとワイヤが入りません。

ワイヤを通すことで爪にひびが入ったり、爪が割れてワイヤが外れることがあります。特に爪が薄い、もろい場合にはできないことがあります。

B:VHO法

専用のスチール鋼を爪の左右のふちに引っ掛けて、フックを用いて巻き上げて固定する方法です。爪の横に引っ掛けたVHOワイヤは、食い込んで痛いようにみますが、血管が走っている真皮内まで突き刺すわけではないので、痛みはありません。あったとしても軽いもので出血もしません。固定したワイヤは爪の伸びと共に前方へ移動します。矯正の度合いに応じて、2,3カ月後に付け替える場合もあります。こうして1年程かて矯正していきますが、治療には個人差があります。

VHO法

利点
・爪が短くても施術が可能です。
・個々の爪に 適正な力加減で、無理なく矯正できます。

欠点
・ワイヤ法に比べて矯正力はやや劣ります。
・施術に時間がかかります。
・材料費が高め。(VHOワイヤ・固定液など)

料金

ワイヤ法・VHO法は全て自由診療となります。
  • ワイヤ法
    1趾・・・8,200円(税込み) 2趾・・・10,260円(再受診料・ワイヤ1本・技術料込み・税込み)
    注)ワイヤ1本は4,000円(税込み)です。2回使用も可能なので2回目以降はワイヤ代がかからない場合もあります(ワイヤ1本で約2趾分です)。足りない場合は、再度購入していただきますのでご了承ください。
  • VHO法
    1趾・・・12,350円(税込み) 2趾・・・20,520円(再受診料・VHO代・技術料込み・税込み)
    注)VHOワイヤは1回のみの使用になります。
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